この記事では『ありふれた転生女子の事情』の35話のネタバレと感想をお伝えしていきます。
『ありふれた転生女子の事情』35話のネタバレ
師匠との思い出
「ラン」
ぼうっとした意識の中、自分のことを呼ぶ師匠の顔が見えます。
ですが、きちんと声を聴くことは出来ません。
そんな朦朧としたイメージを見せる頭を抱えたセレニアはなにか思い出したのかと心配してくる皇太子にこの木札をどこで手に入れたのかと詰め寄ります。
セレニアがいた世界で身分を証明するために使われていた木札。この世界にあるはずがありません。
どうして皇太子がこれを手に入れたのか、皇宮でなにがあったというのでしょうか。
ですが、思い返すのは前の世界で師匠と過ごした穏やかな時間。
いつか山のふもとに行ってラン、いまではセレニアに同じ年頃の友達をつくらないとと笑う師匠。いつまでも山に籠っておらず、いろんな人との交流が必要だとそう言いました。
「あなたがランなのね!」
そしてある日師匠に連れられてやってきた短い茶髪の男性はまだ幼いセレニアを見つけるとあんなダメ師匠のもとでこんな立派な弟子が育つとは!と小さな頭を撫でて褒めます。
山のふもとに下りた師匠が見つけた良い友人をセレニアはお師さんと呼んで慕いました。
友人を意図も簡単に見つけた師匠と一方でバカげたことをして大切な友達を失ったセレニア。
「私はランの気持ちをちゃんとわかってるから」
友達もできずに落ち込むセレニアをお師さんは優しく抱き寄せます。
大切な人を失うことは本当に辛いこと。特に身内の人間しか知らないセレニアにとって友人を失うショックは計り知れません。
「師匠には言わないでください。心配をかけたくないんです」
それでも気丈にふるまうセレニアの言葉にお師さんは笑い声をあげます。
あんな空気が読めないあんぽんたんなんて慰めの一つも言えやしないから。そう笑うお師さんにセレニアは思わず目を細めました。
「師匠がうらやましいです」
あんぽんたんと言いながらもお互いを理解しあっている師匠とお師さんの関係はセレニアにはあまりも遠くに感じるものでした。
私はランの友達でもあるわよ?そう言ってお師さんはまだ本調子ではないセレニアの肩を抱き、いまはもうここにはいない彼女の友達に思いを馳せます。
心のきれいな優しい子。きっと幸せなところに行くと思う。
そしていつかランにもまた大切な友達が出来る。それもたくさん。
嫉妬の気持ちを抑えることや人と大切に思ったり、好きになることもわからないような分別のない奴らではなくランと向き合ってくれる人たち。
慰めでしかない言葉がゆっくりと傷付いたセレニアの心を癒します。
「果たしてこの世にそんな人がいるでしょうか?」
追い詰められたセレニアの心は現実を信じることが出来なくなってしまっていました。
友達を失うってすごく辛いですよね。それもたくさんいる内の1人ではなく、唯一無二のたった一人の友人。
しかも、自分がしてしまった行動で友達を傷つけてしまったセレニアの心はきっとボロボロだったでしょう。
お師さんがそばにいてくれてよかったと安心しますが、セレニアは本当の友人を見つけることができるのでしょうか?
他の世界で見つけた希望
その後、セレニアはある女のせいで他の世界に飛ばされてしまいます。
お師さんの言葉を信じられなかったセレニアは飛ばされた先でようやく大切な人たちに出会います。
飛ばされた先には戦闘後なのか汚れた鎧を着た2人の男。なにやら手柄が上がったと喜んでいるようですが、セレニアの姿を見るなり食って掛かってきました。
ですが、もちろんそんな男たちセレニアの敵ではありません。
簡単に地面に伏せさせられてしまった2人の姿にセレニアは困惑を隠せません。
見慣れない服におかしな色の髪。
一体ここはどこで相手は誰なのかと悩むセレニアの後ろから黒いローブを被った金髪の男がやってきます。
「誰だ、僕の部下たちをこんな目に遭わせたのは?」
団長!と呼ばれる男は地面に倒れた男たち曰く、帝国で一番強い男だと言うのです。
ですが、もちろんその男でさえセレニアの敵ではありませんでした。
呆気なく地面に膝をついてしまった団長。きっと不意打ちを狙っているんだと男たちは半べそで見守りますが、
「降伏します」
期待とは違う団長の言葉に男たちの顔は真っ青になります。
「どうか僕に一手教えて欲しい」
頭を下げる団長を前にセレニアは目を見開きました。
友達探しって結構大変ですよね。なかなか息の合う人が見つからなかったり、上っ面だけの付き合いしかできなかったり。
今度の出会いがセレニアにとって良い出会いであることを祈るばかりです。
友人
そうして団長に連れられ、邸宅に案内されたセレニアはこの世界の説明を受けます。
この世界には身分があり、セレニアを連れてきた団長と言う男の身分はかなり高く、手に持った小さなナイフで肉を切って食べること。
なにをするのも初めてのセレニアはギコギコとステーキを切ります。
「私には敬語を使わずに下の者たちに話す時と同じように接してください」
この世界では珍しいセレニアの黒い髪と瞳。
身分が高いという団長に敬語を使われたら脅迫したとか、洗脳したとか、よくない誤解をされそうです。
そんな要求をしながら慣れないナイフで何とかステーキを切ろうとするセレニア。
思わず力が入ってナイフがぴゅんっとセレニアの手元から飛び出しました。
「今、肉を切っていたナイフを投げて、あの固い壁に刺した、んですか?」
ぶすっと音を立てて刺さったナイフに団長は目を輝かせます。そして、なんと自分もやってみたいとまでいうのです。
食器で遊んではいけませんと言う部下の言葉なんて聞こえない団長はセレニアに尊敬の視線を向けます。
そして、その隣にいる皇太子もまた目を輝かせます。
「俺とも友達にならないか?金やるからさ!」
国庫を賭けてまで友情を誓うと言う皇太子。
もちろん部下は友情ごときに国庫を賭けないでくださいと騒ぎます。
「大丈夫よ」
どうやらこんな感じでセレニアには友人が出来たようです。
突然セレニアに友人が出来ましたね。いまのセレニアはランですが、まだ心に傷を持っているはずです。
団長と皇太子はセレニアの心の傷をいやすことは出来るのでしょうか?
『ありふれた転生女子の事情』35話の感想・考察
セレニアのルーツがわかる35話となりました。
これまで様々なことに巻き込まれてきたセレニア。ゆっくりと記憶を取り戻していきますが、心配なのは前世を思い出してまたセレニアが傷付いてしまうことです。
友人を失った心の痛みはそう簡単に忘れることは出来ません。
思い出してしまったセレニアが傷付かないことを祈るばかりです。ですが、やっぱり前世で団長と皇太子とセレニアの間にどんな友情があったのか気になりますよね!
見てみたいけど、見たら見たでセレニアが傷付かないか心配。
そんな葛藤を感じてしまうような35話でしたが、出来れば36話で3人がとても仲良くなっていてくれると嬉しいですね!
36話が待ちきれませんね!