この記事では『できるメイド様』の50話のネタバレと感想をお伝えしていきます。
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夢、それから背中
火の爆ぜる音が聞こえる暖炉の前で豪奢な服に身を包んだ男性が机一杯に並んだスイーツに舌鼓を打っています。
「パティシエの王と呼ばれるだけある」
少しだけ靄がかかった不思議な光景。
もう見慣れたいつもの夢の場面です。
どうやらスイーツを食べているのは一国の主で、その前に立つ男は専属のパティシエでその数々のスイーツを手掛けたように見えます。
「それでも食べ過ぎはよくありません」
外国の皇帝でさえも称賛した晩餐を作れるだけの男が作ったスイーツを食べる手は止まりません。
それでも男は自分の主に体のことを考えてくださいとその手を諫めます。
「どうやってこんな素晴らしい料理を作れるようになったんだ?」
「貧民だからこそこのような料理を作ることができたのだと思います」
貧民出身にも関わらず、今では自国だけではなく諸外国の王族の口にまで運ばれるほどの料理を作るようになった男性。
自信満々な目でその続きを話そうとしますが、そこでマリは目を覚ましました。
「あまり遠くに行かないでくださいね」
一体今度の夢はどんな意味を持っているんだろう。
護衛を務めている男性に道を聞いて、眠い目を擦りながらマリは昔の人が使っていたという道を辿って夜の散歩に繰り出しました。
そうして少し歩いていると森の中に皇太子の背中を見つけました。
『殿下?』
まだマリには気付いていないようです。
不眠症で眠れないから散歩にでも出たのか?と考えながらマリは少し前を歩く皇太子の後を静かについていきます。
『ここは』
そうして歩いた先、そこには内戦の時に焼き払われた家の数々が打ち捨てられていました。
皇太子の思い
また朝日が昇ると馬車に乗って視察場所へと向かいます。
静かに書類に目を通す皇太子の向かいに座って、マリは居心地の悪い思いをしていました。
それは昨日、まだ皇太子が第四皇子だった頃に起きた第二王子との内戦で焼け野原にした場所を見ている皇太子の姿をみたせいでしょうか
一体皇太子はあの光景を見て、何を思ったのか?
「どうした?」
そんなことをぼんやりと考えていると皇太子に声を掛けられました。
どうやらもう少しでベール城に到着するようです。
城で少し休んでから次の日にサトウキビを栽培する場所を視察に行きます。
「直接ご覧になる理由があるんですか?」
確認するべきなのはどの土地が栽培に適しているのか、どんな労働力が必要なのか、です。
そのくらいであれば、行政官を派遣するだけで十分なのになぜ皇太子がわざわざ足を運ぶ必要があるのか?
そうマリが問うと皇太子は胸の内を話し始めました。
サトウキビの栽培は帝国の利益になります。
それが上手くいけば長引く困窮に苦しむ西南部を救い出せるかもしれません。
そんな大切な内容をただの報告書で済ませるわけにはいかない。
まっすぐな皇太子の言葉にマリはやはり帝国民を想う気持ちが強いんだなと再確認しました。
「だからマリ、お前には本当に感謝している」
皇太子の熱い思いに感銘を受けているとそう言われました。
今回のサトウキビの栽培はマリがいなければ、皇太子でさえも思いつかなかったからです。
サトウキビの栽培が成功したら、ここに交易都市を築くことになります。
「そうなればここも繁栄するだろうな」
内戦で荒れ果てた西南部の姿に、交易都市として栄える姿を見ているのか、窓の外を見る皇太子の目はきらきらと輝いています。
平民の声
「行政官のジブロールです」
馬車がベール城に到着すると行政官を始めとした使用人たちが挨拶へと外へ出てきました。
「つまらないものしか用意できなかったのですが」
長旅で疲れただろうからと用意された食事はどれも皇太子に出すには貧相なものばかりです。
ですが、皇太子はこのあたりの地域の状況をよく知っています。
逆に平民が貧困で苦しんでいるというのに珍味を出されたら怒っていたと笑って、席に着きました。
「なにか問題があるのか?」
皇太子の視察に先立ち、今回の教国との取引はここまで伝えられているはずです。
ですが、なにやら行政官は言いづらそうにしますが、皇太子に命じられ、渋々口を開きました。
「やはり西南部の平民たちが反対しておりまして」
その言葉に皇太子は首を傾げます。
この地域にとって利益になる話だというのに一体なぜなのでしょう?
「皇太子がお決めになったことに不満を抱いております」
利益になることはどの平民も理解している。にもかかわらず、反対しているという報告にマリは眉を潜めました。
どうして皇太子が決めたことが反対する理由になるというのか、
その答えは皇太子も気付いていました。
「ここ西南部は内戦当時、侵略軍だった殿下に大きな反感を抱いております」
そうあの内戦の時、ここを焼け野原にしたのは皇太子その人なのです。
なので、そんな人物が主導する事業とだけあり、反感だけでなく、労働力の収集も上手くいっていません。
その報告に皇太子は頭を抱えます。
サトウキビの栽培には土地だけでなく、大きな労働力が必要となるからです。
もう強制労働しかないのでしょうか。そんな行政官の言葉に皇太子はまず町の様子を見に行きたいと席を立ちました。
「どうせ金持たちが食べるために俺たちが苦労させられるだけだ」
「これを決めたのもあの悪魔みたいな皇太子なんだろ?」
正体がばれないように目深にフードを被った皇太子とともに町に出たマリの耳には皇太子を侮辱するような言葉ばかりが聞こえてきます。
「皇太子の領土になって以来凶作が続いている。この地域はあいつのせいで呪われてしまったんだ」
あまりの言いように騎士の1人が剣を抜こうとしますが、皇太子はそれを制し、城へと戻りました。
「明日もう一度話し合おう」
とにかく今日は休め。
そう言われてマリは案内された自室で、町で見たことを思い出しながら溜息を吐きました。
西南部のために努力をしても、あんなにひどいことを言われている皇太子のことを思うとなにか助けになれないかと眠ることもできません。
「平民たちの心を取り戻す方法があるのなら教えてください」
窓の向こうに見える大きな月にそう願いました。
「砂糖は幸せの粉ですから」
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『できるメイド様』50話の感想・考察
また新たな問題が発生した50話となりました。
今度の問題は皇太子に反発し、サトウキビを栽培しようとしない平民たちです。
一体マリはこの問題にどうやって立ち向かうというのでしょうか?
パティシエの夢を見ていますからお菓子で解決するとは思いますが、一体どんなお菓子を作るのでしょう?
いまからもう楽しみですね!
そして、皇太子とマリの関係はまたこの西南部のお話で近付くのでしょうか?
51話からも目が離せませんね!